滲出性中耳炎(子ども)
病 態
滲出性中耳炎は中耳に液体がたまった状態です。
子どもでは特に珍しい病気ではありません。
小学生になるまでに 90% が一度はかかると言われています。
痛みや発熱はなく、軽度の聞こえにくさが症状であり、10 歳くらいまでは本人が気づかないこともあります。 本人の訴えは軽くても長期にわたって滲出性中耳炎の状態が続くと
①鼓膜に病的変化が出現する、
②治療が難しい特殊な中耳炎になる、
③言語発達や学業の遅れなどを引き起こすことがあります。
このため全く放置しておくのは好ましくありません。
治るまでに 1 ケ月~6 年とお子さまによってかなり差があります。
治 療
- 小児滲出性中耳炎診療ガイドライン(日本耳科学会)に沿って個々の患者さまにあった治療方針を選択いたします。
- 治療の中心は飲み薬です。薬剤なしで経過をみることもあります。
- アレルギー性鼻炎、鼻副鼻腔炎やアデノイド肥大を伴うお子さまもいますので、そのときは併せて治療が必要になります。
- 治療を続けても治りが悪いときは鼓膜チューブ留置術をすすめます。チューブを入れることによって滲出液を消失させ、聞こえを改善するとともに鼓膜の病的変化の悪化を防ぎます。
中耳(鼓室)に液体がたまっています。
注:この液体はお風呂やプールの水が中耳に入ったものではありません。もともと体の中にある体液がにじみ出てきたものです。(→滲み出る中耳炎=滲出性中耳炎)
滲出性中耳炎(大人)
病 態
滲出性中耳炎は鼓膜の奥に液体が溜まった状態です。
大人では 50~60 歳代に多いとされます。
症 状
難聴、耳がつまった感じ、自分の声が響く などです。
原 因
かぜや鼻副鼻腔炎、鼻すすり、加齢などによる耳管機能の障害によって起きます。ときには上咽頭癌による耳管機能障害のこともあるので感冒症状を伴わない場合はファイバー検査も必要です。
治 療
- 飲み薬:状況によってはマクロライド系抗菌剤や去痰剤が有効です。
- 耳管通気︓耳管から中耳に空気を入れる処置です。
- 鼓膜切開:鼓膜に小さな穴をあけて貯留液を外に出します。
- 鼓膜チューブ留置術:鼓膜に小さいチューブをおいて、中耳に空気を入れることによって、中耳の状態を正常化します。
いつ頃治るかは患者さんによってかなり違います。
1週間で治ることもあれば数ヶ月かかることもあります。患者さんのそれぞれの病態や経過によって、ときには患者さんのご要望によっても治療法を選択します。